LEDビジョンにおける金線と銅線の違い

LEDビジョンは大型ディスプレイから広告看板まで、多様な場面で活用されています。表示品質や耐久性を左右する要素の中に、LED内部に使われている配線が挙げられます。配線に使われるのが主に「金線」と「銅線」ですが、どちらが使われているかによって品質が変わります。この記事ではそれぞれが持つ特徴や違いについてご紹介します。

目次

LEDビジョン:金線と銅線の役割

LED内部では、LED半導体に電気を流すために「ボンディングワイヤー」が使用されます。このボンディングワイヤーには、主に金線と銅線の2種類が素材として用いられます。それぞれの素材には独自の特性があり、電気抵抗値や安定性がLED全体の輝度や寿命に大きな影響を与えます。

金線と銅線を比較する際の主要なポイントは、導電率の違い、耐久性、コスト、そしてメンテナンス性などです。導電率は信号の伝達効率に直結し、耐久性は製品の寿命を大きく左右します。コストは初期投資だけでなくランニングコストも考慮する必要があります。

金線の特徴

LEDビジョンの中でも、金線は比較的大型のものに多く採用されています。その理由は、金線が持つ優れた素材特性にあります。金線は耐久性や安定性が高いため、長期間にわたってクオリティーが高い映像を維持しやすいのが特徴です。

一方で、一般的に使用される銅線は、50,000時間ほどで徐々に輝度が低下すると言われています。しかし、金線はそれよりもはるかに長持ちし、倍の100,000時間の寿命が期待できるとされています。そのため、大型で高品質を求められるLEDビジョンには金線が選ばれることが多いのです。

長寿命で性能が安定している点から、金線を採用したLEDビジョンは、初期費用は高めですが、長い目で見ればコストパフォーマンスの良い選択肢と言えるでしょう。

接触信頼性の高さ

金は、接触面で酸化膜がほとんど形成されないという特性を持っています。このため、電子回路の接触信頼性が非常に高まり、安定した電気伝導が可能です。接触不良が起きにくいため、長期間にわたって高い性能を維持できる点が大きなメリットです。

酸化しにくく安定度が高い

金は酸素や水分と反応しにくいため、長期間にわたり性能を維持できます。特に屋外に設置する巨大ディスプレイや、高湿度の屋内環境で安定稼働を求める場合にメリットが大きいです。酸化による接触不良や画素欠けが起こりにくく、長い稼働年数を見込めます。

長寿命である

金は素材疲労が小さいため、激しい温度変化や振動にも耐えやすいです。その分メンテナンスや交換コストが抑えられます。

初期費用は高くなる

金は希少金属のため、素材価格が高額になりがちです。製品単価の上昇につながるため、大量導入を計画する際には予算面で課題になる可能性があります。予算と性能をどのようにバランスさせるかが検討の要点です。

銅線の特徴

銅線は安価なLEDビジョンで使われています。屋内使用など、雨や埃など過酷な条件が少ないケースでの導入実績が豊富です。とはいえ、耐久性や酸化のリスクを理解しないまま導入すると、不具合に直結する恐れがあります。

初期費用が安い

銅は金と比べて入手しやすく、素材費が安価です。低価格のLEDビジョンを大量に設置したいときには選択肢になります。導入初期の予算を抑えられますが、修理やメンテナンスのコストは高くなりがちです

酸化による劣化リスクがある

銅は酸化や腐食が起きやすく、長年の使用で劣化が進む場合があります。水分や塩分の影響が大きい地域や、屋外への常設を考える場合には注意が必要です。劣化が進むと輝度低下やチップ自体の破損リスクが増すので、適切なメンテナンス計画が求められます。
特に白く光るLED部分には、薄茶色の斑点のような症状が現れることがあります。これが映像のクオリティ低下の原因となることもありますが、映像が動いているため、実際には気づく方は少ないのが現状です。

取り扱いやすい

銅は引っ張り強度が高く、柔軟性もあるため取り扱いやすい素材です。この特徴により、製造工程での加工や取り付けが容易になり、大量生産や設置作業の効率化が期待できます。

寿命は短い

銅線は金線と比較して寿命が短い傾向があります。長期間の安定稼働を期待する用途には向いていません。導入後のメンテナンス費や交換費を総合的に試算する必要があります。どのメーカーのLEDビジョンにも『100,000時間の寿命』と記載されていることが多いですが、実際に屋外で使用する場合は、環境の影響を受けやすいため、50,000時間を目安に徐々に輝度が低下していくことがあります。屋外では日光や雨風、気温の変化などの要因が大きく影響するため、寿命の目安が短くなることを理解していただければと思います。

金線と銅線の選定基準

LEDビジョンは長寿命を最重視するか、コストを優先するか、環境要因がどの程度厳しいかなど、選定基準を明確にしましょう。
カタログには、「金線(Gold Wire)」や「銅線(Copper Wire)」といったワイヤーの素材が記載されている場合があります。特に高品質をアピールしている場合、金線が使用されていることが明記されていることが多いです。

確認方法

実際のところ、高額な製品でも銅線仕様の場合があります。また、カタログに仕様が詳しく記載されていないことも多く、違いがわかりにくい場合があります。そんな時は、信頼できるメーカーや販売代理店を選び、気になる点を事前に問い合わせて確認するのがおすすめです。それによって、安心して製品を選べます。

耐久性を最優先する場合

・24時間連続稼働に近い使用が多い
・屋上などメンテナンスが難しい場所へ設置
・長期間、安定重視の重要インフラ用途
・大型LEDビジョン(接触不良など比較的、不具合が少ない)

上記に該当するケースでは、金線を選ぶメリットが大きいです。導入時は高コストでも、長期間の稼働が見込めるので、総合的にコストを回収しやすくなります。

コストを抑えたい場合

・イベントでの短期利用
・初期予算が少ない場合
・室内利用のみ
・1日の点灯時間が12時間以下

銅線を採用すれば、初期費用を大幅に抑えられます。耐久性にさほどシビアでないプロジェクトならコストメリットが大きいです。

まとめ

金線と銅線を鋼材に例えると、金線はステンレス、銅線は鉄のようなものです、鉄でも設置場所の環境によっては経年劣化が比較的緩やかで、十分に使用可能な場合があります。LEDビジョンで利用される金線と銅線には、それぞれ特有の強みと課題があります。金線は高い導電率や酸化耐性に優れ、長寿命を期待できます。高コストがネックになりますが、屋外広告や長期間クオリティーの高い映像を使う前提の製品にマッチします。銅線は素材費が安く、初期導入負担を抑えたい場面で重宝します。ただし酸化しやすいため、寿命が短くなるリスクがあります。選定時は予算・使用環境・クオリティなどを軸に検討しましょう。

どちらを選ぶにしても、長期間の使用はLEDモジュールや電子部品などのメンテナンス計画を含めた総合的な視点が大切です。安価な銅線でも充分な場合もあります、双方の特徴を理解しながら後悔のない選択をしましょう。

私たち、イツキサイネージは販売だけではなくメンテナンスも社内で対応させていただきます、どの様な小さなことでもお気軽にご相談ください。

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